マンションや建物などは経年の劣化により、水漏れや雨漏りが多く発生してしまいます。これはどうしても建物自体の寿命もあるため、防ぎようのないことですが定期的なメンテナンスなどにより、寿命を伸ばすことは可能です。
また一般の方にはなかなか雨漏りと水漏れの違いを知っている方も少ないと思います。建物内部へ水が漏れたからといっても水漏れと雨漏りでは原因が違ってきます。
今回はそんな雨漏りと水漏れの違いから修理方法など、防水の工事についてプロの専門業者がわかりやすく解説します。
目次
雨漏りや水漏れ修理における防水工事の基礎知識
雨漏りと水漏れの違いと防水の工事についての基礎知識をご紹介します。
雨漏りと水漏れの違いについて
雨漏りと水漏れは、建物内に水が浸入する現象ですが、その原因や状況によって異なる特徴があります。
雨漏りは、雨水が建物の屋根や外壁から侵入してくることを指します。例えば、雨の日に屋根や外壁から滴る水や、天井や壁に染みや水滴が現れるなどの兆候が見られます。雨漏りの主な原因は、屋根や外壁の劣化や破損、施工不良などが考えられます。
一方、水漏れは、建物内部の水道設備や配管から水が漏れ出す現象を指します。例えば、水道の蛇口やトイレの給水管からの水漏れや、浴室やキッチンの水回りからの水漏れが該当します。水漏れの主な原因は、配管の老朽化や破損、接合部の不良、水圧の異常などが考えられます。
防水工事の基本的な知識の紹介
防水工事は、建物を雨水や水の浸入から守るための工事です。防水工事の目的は、建物の耐久性や快適性を向上させることにあります。
防水工事では、建物の特定の部位や構造に防水材料を施し、水の浸入を防ぐ役割を果たします。主な施工箇所としては、屋根、外壁、バルコニー、浴室、トイレなどがあります。
防水工事の基本的な手順は以下の通りです。
1. 建物の現状調査と問題箇所の特定:まず、建物の現状を調査し、雨漏りや水漏れの原因や範囲を特定します。
2. 下地処理:防水材料を施工する前に、建物の下地を適切に処理します。下地処理には、清掃や補修、平滑化などが含まれます。
3. 防水材料の施工:適切な防水材料を選定し、施工箇所に施工します。防水材料には、塗膜型やシート型などさまざまな種類があります。
4. 施工箇所の仕上げ:防水材料の施工後、仕上げ処理を行います。例えば、塗膜型の場合は、塗装や塗膜の表面処理を行います。
5. 定期的なメンテナンス:防水工事が完了した後も、定期的なメンテナンスを行うことが重要です。定期的な点検や補修により、防水効果を維持し、長い耐用年数を確保します。
防水工事が必要な箇所
防水工事が必要な箇所は、建物の構造や用途によって異なります。以下に、一般的に防水工事が必要な箇所をいくつか紹介します。
1. 屋根:屋根は雨水の直接的な影響を受けるため、防水工事が必要です。屋根材の劣化や破損がある場合は、早めに修理や補修を行う必要があります。
2. 外壁:外壁も雨水や風にさらされるため、防水工事が必要な場合があります。外壁のクラックや劣化が見られる場合は、適切な対策を取ることが重要です。
3. バルコニー:バルコニーは雨水の浸入や排水の問題が生じやすい箇所です。バルコニーの防水工事は、水たまりや浸水を防ぐために行われます。
4. 浴室・トイレ:浴室やトイレは水回りのため、水漏れや浸水によるトラブルが発生しやすいです。防水工事により、建物内への水の浸入を防ぎます。
これらの箇所以外にも、地下室や地下駐車場なども防水工事が必要となる場合があります。建物の特性や使用状況に応じて、適切な防水工事を行うことが重要です。
防水の仕組み
防水工事の重要なポイントは、防水の仕組みを理解することです。防水は、建物を水から守るためのバリアを形成することで実現します。
●防水の劣化と雨漏りの現象について解説
防水材料は時間の経過や外部の影響により劣化することがあります。その結果、雨漏りの原因となる問題が発生することがあります。
劣化の主な要因としては、以下のようなものがあります。
1. 塗膜のひび割れ:塗膜型の防水工法では、塗膜の表面にひび割れが生じることがあります。これにより、水が塗膜内部に浸入し、雨漏りの原因となります。
2. 塗膜の膨れ・剥がれ:塗膜が膨れたり剥がれたりすると、防水性能が低下し、雨水の浸入を許す可能性があります。特に気候の変化や温度の影響を受けやすい箇所では、この問題が生じやすくなります。
3. 水たまり:防水層や防水材料の傾斜や排水設備の不備により、水たまりが発生する場合があります。水たまりが長時間続くと、防水層に負荷がかかり、劣化や浸透の原因となります。
これらの劣化現象により、雨漏りが発生する可能性があります。早期に劣化箇所を発見し、適切な修理や補修を行うことが重要です。
●防水の工法(密着工法、絶縁工法、かぶせ工法)の説明
防水工事には、さまざまな工法があります。以下に、代表的な防水工法をいくつか紹介します。
1. 密着工法:防水材料を下地や建材に密着させることで防水効果を発揮する工法です。主に塗膜型の防水材料が使用されます。密着工法は、比較的施工が容易で柔軟性に優れるため、多くの箇所で利用されています。
2. 絶縁工法:防水層と構造物を物理的に分離する工法です。例えば、シート状の防水材料を敷設することで、水の侵入を遮断します。絶縁工法は、耐久性に優れるため、耐久性が求められる場所や地下構造物でよく使用されます。
3. かぶせ工法:既存の防水層の上に新たな防水層をかぶせる工法です。古い防水層が劣化している場合や補修が必要な場合に有効です。かぶせ工法は、コストや施工期間を抑えることができるため、リフォームやメンテナンスに適しています。
これらの工法は、それぞれの特性や利点があります。防水工事の対象箇所や条件に合わせて最適な工法を選定し、施工することが重要です。
防水層の種類と耐用年数
防水工事において使用される防水層には、さまざまな種類があります。それぞれの防水層には異なる特性や耐用年数がありますので、以下でそれぞれについて説明します。
1. ウレタン防水:ウレタン樹脂を主成分とした塗膜型の防水材料です。耐候性に優れ、屋根やバルコニーなどの水平面や斜面に適しています。耐用年数は約10年から20年程度で、定期的なメンテナンスが必要です。
2. FRP防水:Fiber Reinforced Plastic(繊維強化プラスチック)を使用した防水材料です。強度や耐久性に優れ、屋上や床面の防水に使用されます。耐用年数は約20年から30年程度で、定期的な点検や補修が必要です。
3. アスファルト防水:アスファルトを主成分としたシート型の防水材料です。耐久性が高く、屋根や地下構造物などに使用されます。耐用年数は約20年から30年程度で、アスファルトの劣化や表面の補修が必要です。
4. 塩ビシート防水:塩化ビニル(PVC)を主成分としたシート型の防水材料です。柔軟性や耐久性に優れ、地下構造物や水槽などに使用されます。耐用年数は約20年から30年程度で、接合部や貫通部の補修が必要です。
5. ゴムシート防水:合成ゴムを主成分としたシート型の防水材料です。柔軟性や耐候性に優れ、地下構造物やプールなどに使用されます。耐用年数は約20年から30年程度で、定期的な点検とゴムシートの補修が必要です。
各防水層の耐用年数は目安であり、使用環境やメンテナンスの状況によって異なる場合があります。定期的な点検と必要な補修を行いながら、耐用年数を延ばすためのメンテナンスを適切に行うことが重要です。
防水工事の費用(目安)と保証制度
防水工事の費用は、施工箇所や工法、使用する防水材料の種類などによって異なります。以下に一般的な目安となる費用の範囲を示しますが、具体的な費用は専門業者に見積もりを依頼する必要があります。
1. 屋根の防水工事:一般的な一戸建て住宅の屋根の防水工事の費用は、約100,000円から200,000円程度とされています。ただし、屋根の形状や面積、使用する防水材料によって費用は変動します。
2. バルコニーの防水工事:バルコニーの防水工事の費用は、一般的なサイズのバルコニーで約50,000円から100,000円程度です。バルコニーの形状や使用する防水材料、追加工事が必要な場合は費用が増える場合があります。
3. 浴室の防水工事:浴室の防水工事の費用は、一般的なサイズの浴室で約50,000円から100,000円程度です。ただし、浴室の床面や壁面の面積、防水材料の種類によって費用は異なります。
防水工事には、保証制度も重要な要素です。一般的に、防水工事業者は施工後の一定期間にわたって保証を提供します。保証期間や内容は業者によって異なるため、契約前にしっかりと確認しましょう。保証制度によっては、防水工事の施工不良や材料の劣化によるトラブルに対して無償で修理や補修を行うことができます。保証制度の詳細については、契約書や業者との打ち合わせを通じて明確にすることが大切です。
また、防水工事を行う際には、信頼性のある施工業者を選ぶことも重要です。業者の実績や評判、施工スキル、保険の有無などを確認し、信頼できる業者と契約することが安心・安全な防水工事の実現につながります。
材料の違いによる防水工事の種類とプライマーの役割
防水工事において、使用する材料の種類によって異なる工法があります。以下では主な防水工事の種類と、それぞれに使用されるプライマーの役割について説明します。
1. アスファルト防水:アスファルトシートを使用した防水工法です。アスファルトシートは熱を加えて溶かし、建築物の表面に貼り付けます。アスファルト防水工法では、下地の密着性を高めるためにプライマーが使用されます。プライマーは、下地の吸水性を抑え、アスファルトの密着性を向上させる役割があります。
2. ガムロン防水:ガムロンと呼ばれる合成樹脂シートを使用した防水工法です。ガムロンシートは熱を加えて溶かし、建築物の表面に貼り付けます。ガムロン防水工法では、下地の密着性を高めるためにプライマーが使用されます。プライマーは、下地とガムロンシートの密着を促し、防水効果を向上させます。
3. シート防水:柔軟なシート状の防水材料を使用した防水工法です。主に塩ビシートや合成ゴムシートが使用されます。シート防水工法では、下地の密着性やシートの接着性を高めるためにプライマーが使用されます。プライマーは、下地の表面を処理し、シートの接着力を強化する役割があります。
4. 塗膜防水:塗膜型の防水材料を使用した防水工法です。塗膜防水は、建築物の表面に塗布することで防水効果を発揮します。塗膜防水工法では、下地の吸水性を抑え、塗膜の密着性を高めるためにプライマーが使用されます。プライマーは、下地の処理により塗膜の密着力を向上させ、防水効果を確保します。
プライマーは、防水材料と下地との間の密着性を向上させる役割を果たします。下地の処理により吸水性を抑え、材料同士の接着力を強化することで、より効果的な防水を実現します。プライマーの適切な選定と使用は、防水工事の耐久性と効果に大きく影響します。
外壁を防水にすることのメリット
外壁を防水することには、さまざまなメリットがあります。以下に外壁防水のメリットをいくつか紹介します。
1. 長期的な建物の保全:外壁は建物を雨水や風から守る最前線に位置しています。外壁の防水により、雨水や湿気の侵入を防ぎ、建物の内部への被害を軽減します。長期的な防水メンテナンスを行うことで、建物全体の耐久性と寿命を延ばすことができます。
2. 室内の快適性とエネルギー効率の向上:外壁の防水は、室内の快適性を向上させます。防水により、外部からの湿気や風が建物内部に侵入するのを防ぎ、室内の温度と湿度の調整がしやすくなります。また、外壁の絶縁効果も向上し、冷暖房の効率を高めることができます。
3. 外観の美観と価値の維持:外壁は建物の外観を形成し、美観を演出します。外壁の防水により、外壁の汚れや劣化を防ぎ、建物の美観を維持することができます。美しい外観は、建物の価値や資産価値を維持する上でも重要です。
4. 防カビ効果と健康への配慮:外壁の防水により、湿気や水の侵入を防ぐことで、カビや菌の繁殖を抑制する効果があります。カビの発生は室内環境に悪影響を及ぼすだけでなく、健康リスクも引き起こす可能性があります。外壁の防水によって、建物内部の健康環境を保ち、住居の快適さと安全性を確保することができます。
これらのメリットからもわかるように、外壁の防水は建物の耐久性や快適性、美観、健康への配慮にとって重要な役割を果たします。定期的な点検とメンテナンスを通じて、外壁の防水を適切に行いましょう。
外壁の防水効果と耐用年数
外壁の防水効果は、使用する防水材料や施工方法によって異なります。防水工事が適切に行われた外壁は、以下のような効果と耐用年数を持つことが期待されます。
1. 防水効果の維持:外壁の防水工事により、雨水や湿気の侵入を防ぎます。防水層がしっかりと形成され、水の浸透や漏水を防ぐことで建物内部を守ります。適切な施工と定期的なメンテナンスにより、防水効果を維持することが重要です。
2. 耐用年数の目安:外壁の防水の耐用年数は、使用する防水材料や気候条件などによって異なります。一般的に、外壁の防水工事の耐用年数は約10年から20年程度とされています。ただし、環境への曝露や劣化の進行具合によっても耐用年数は変動します。定期的な点検と必要な補修を行いながら、耐用年数を延ばすためのメンテナンスを適切に行うことが重要です。
3. 建物の状態と相関関係:外壁の防水効果は、建物の状態と密接な関係があります。防水工事が適切に行われていることで、建物全体の劣化や損傷を防ぎます。逆に、外壁の防水が不十分である場合、建物の劣化やカビ、シロアリなどの問題が発生する可能性があります。外壁の防水効果を維持することは、建物全体の健康と耐久性を確保するために不可欠です。
外壁の防水効果や耐用年数は、施工時の品質やメンテナンスの状態によって大きく左右されます。適切な防水工事業者を選び、信頼性のある防水材料を使用し、定期的な点検とメンテナンスを行うことで、外壁の防水効果と耐久性を最大限に引き出すことができます。
屋上からの雨漏りの原因と対処法
屋上からの雨漏りは、建物の上部から雨水が侵入し、内部に漏水する現象です。以下に屋上からの雨漏りの主な原因と対処法を説明します。
1. 屋上の防水層の劣化:屋上には防水層が施工されており、その劣化が雨漏りの主な原因となります。防水層が老朽化したり、ひび割れや剥がれが生じたりすると、雨水が屋内に浸入します。対処法としては、防水層の補修や防水シートの交換などがあります。
2. ドレンや排水管の詰まり:屋上のドレンや排水管が詰まると、雨水が正常に流れずに溜まり、屋内に漏水する原因となります。ドレンや排水管の定期的な清掃とメンテナンスが重要です。詰まりを解消するために、専門業者による点検や清掃を依頼することが推奨されます。
3. 経年劣化や破損した屋上の設備:屋上にはエアコンの室外機や換気扇などの設備が設置されています。これらの設備が経年劣化や破損していると、雨漏りの原因となることがあります。対処法としては、設備の修理や交換を行うことが必要です。
4. 屋上の床面の割れや浮き:屋上の床面に割れや浮きが生じると、雨水が浸入しやすくなります。床面の補修や施工不良の改善が必要です。また、適切な排水設備や施工により、雨水が滞留せずに効果的に排水されるようにすることも重要です。
5. 陸屋根の雨漏り:陸屋根は水平な屋根の一部であり、雨水がたまりやすい箇所です。陸屋根の防水層の劣化やひび割れが原因となることがあります。陸屋根の防水工事や排水設備の改善が必要です。
雨漏りの原因を特定し、適切な対処法を実施するためには、専門の防水業者や建築専門家に相談することが重要です。定期的な点検やメンテナンスを行い、早期に雨漏りの問題に対処することで、建物の被害を最小限に抑えることができます。
防水工事の必要性とチェックリスト
防水工事は、建物を雨水や湿気から守るために不可欠な施策です。以下に防水工事の必要性と、防水工事を検討する際のチェックリストをまとめます。
防水工事の必要性
1.建物の耐久性の維持:
雨水や湿気の浸入により建物が劣化し、腐食やひび割れ、カビの発生などが起こる可能性があります。防水工事によって建物の耐久性を保ち、長寿命化を図ることができます。
2.室内環境の健康と快適性の確保:
雨漏りや湿気によってカビやダニが発生し、室内の空気質が悪化する可能性があります。防水工事によって、室内環境の健康と快適性を確保することができます。
3.建物の外観と美観の維持:
雨漏りによるシミや汚れ、劣化した外壁は建物の外観を損ね、美観を損ねる可能性があります。防水工事によって外壁の美観を維持し、建物の価値を保つことができます。
4.予防的な対策の重要性:
防水工事は予防的な対策として行われることが多く、被害が発生する前に問題を解決することができます。定期的な点検やメンテナンスとともに、防水工事を行うことで被害の予防に役立ちます。
防水工事を検討する際のチェックリスト
1.建物の防水状況の確認:
建物全体の防水状況を点検しましょう。屋根、外壁、床などの防水状態を詳しく調査し、問題の箇所を特定します。
2.専門業者の選定:
防水工事は専門知識と技術を要するため、信頼できる専門業者を選ぶことが重要です。実績や評判、施工実績などを確認し、複数の業者から見積もりを取りましょう。
3.防水材料の選定:
適切な防水材料を選ぶことが重要です。建物の用途や環境条件に合わせて、信頼性の高い防水材料を選びましょう。
4.施工計画と工期の設定:
防水工事の施工計画と工期を明確に設定しましょう。工事によっては建物の使用が制限される場合があるため、工期やスケジュールの調整が必要です。
5.メンテナンスプランの作成:
防水工事後の定期的なメンテナンス計画を立てましょう。防水材料や施工箇所の点検や補修を定期的に行うことで、防水効果を維持することができます。
以上のチェックリストを参考に、防水工事の必要性を判断し、適切な対策を講じることで、建物の保護と耐久性を確保することができます。
防水工事を行うタイミングと起こる問題
防水工事を検討するタイミング
1. 建築時やリニューアル時:建物が建築された時や大規模なリニューアルが行われる時には、防水工事を計画しましょう。建物の耐久性や長寿命化を図るために、初期段階から防水工事を考慮することが重要です。
2. 防水劣化の兆候が見られる時:外壁や屋根、床などに防水劣化の兆候が見られる場合には、早期に防水工事を検討しましょう。シミやカビ、ひび割れ、膨れ、剥がれなどの兆候があれば、防水層の修復や補修が必要です。
3. メンテナンス時や定期点検時:定期的なメンテナンスや点検の際には、防水状態を確認しましょう。劣化や損傷が見つかった場合には、適切なタイミングで防水工事を行います。定期的な点検は、防水効果の持続性を確保するために欠かせません。
4. 天候条件や季節に応じて:防水工事のタイミングは天候条件や季節によっても影響を受けます。施工に適した気候や温度範囲を考慮し、適切な時期に工事を行うことが重要です。特に雨の少ない乾季や、低温時には施工が適しています。
起こる問題と対策
1. 雨漏りや水浸し:防水劣化や破損により、雨漏りや水浸しの問題が発生する可能性があります。建物内部の損傷や家具、設備の損壊などを引き起こす恐れがあります。早期の防水工事により、雨漏りや水浸しの被害を最小限に抑えることができます。
2. 外壁や屋根の劣化:長期間の雨水や紫外線の影響により、外壁や屋根の劣化が進む可能性があります。ひび割れや剥がれ、色褪せなどが起こり、建物の美観や耐久性が損なわれます。防水工事によって外壁や屋根の防水性能を回復させることができます。
3. カビや湿気の発生:防水劣化により、湿気やカビの発生が促進される可能性があります。カビは健康被害や室内環境の悪化を引き起こす恐れがあります。防水工事によって、室内の湿気やカビの発生を抑え、快適な住環境を確保することができます。
4. 施工材料の劣化:防水工事に使用される材料も時間とともに劣化する可能性があります。塗膜のひび割れや剥がれ、シートの老朽化などが起こることがあります。定期的なメンテナンスや防水工事によって、劣化した材料の補修や交換を行いましょう。
防水工事を適切なタイミングで行うことで、雨漏りや劣化による問題を未然に防ぎ、建物の耐久性や快適性を確保することができます。定期的な点検とメンテナンスの実施も合わせて行い、建物の防水状態を適切に管理しましょう。
マンションの水漏れと防水対策
マンションの水漏れの種類と原因
1. 屋上からの水漏れ:マンションの屋上からの水漏れは、屋上防水の劣化や破損が原因となることがあります。屋上防水層のひび割れやシートの老朽化により、雨水が侵入し、下階の住戸や共用部分に水漏れが発生します。
2. 配管の水漏れ:マンションの給水配管や排水管において、老朽化や接続部の破損による水漏れが起こることがあります。配管の腐食や劣化、不適切な施工などが原因となります。
3. バルコニーからの水漏れ:バルコニーの防水層や排水設備の不具合により、バルコニーからの水漏れが発生することがあります。防水層の破損や排水溝の詰まり、防水コーティングの劣化などが原因です。
4. 浴室やトイレからの水漏れ:マンションの浴室やトイレなどの水回りからの水漏れが起こることがあります。シーリングの劣化、排水設備の不具合、給水配管の漏水などが原因となります。
適切な防水対策
1. 定期的な点検とメンテナンス:マンションでは、定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。屋上防水の定期点検や配管の定期的なチェック、バルコニーの防水コーティングの定期補修などを行い、早期発見と適切な対応を行うことが重要です。
2. 防水層の補修や再施工:屋上防水やバルコニーの防水層に問題が見つかった場合には、適切な補修や再施工を行います。防水シートの交換やコーティングの施工、防水工法の改善などによって、防水性能を回復させましょう。
3. 配管の点検と補修:配管において水漏れが発生した場合には、配管の点検と必要な補修を行います。老朽化した配管の交換や接続部の補修、適切な防水コーティングの施工などが対策として有効です。
4. 浴室やトイレの防水施工の確認:浴室やトイレなどの水回りにおいては、防水施工の確認と適切な対策が重要です。シーリングや防水層の補修、排水設備の点検とメンテナンスなどを行い、水漏れのリスクを軽減させましょう。
5. 住民への防水教育と意識向上:マンションの住民に対しては、防水の重要性や定期的なメンテナンスの必要性を啓発しましょう。防水教育の実施や情報提供によって、住民の防水意識を高めることができます。
マンションの水漏れ問題を解決するためには、定期的な点検、適切なメンテナンス、防水対策の実施が欠かせません。専門家の助言や業者の協力を得ながら、早期の水漏れの発見と適切な対策を行い、マンションの防水性能を確保しましょう。
マンション所有者や管理組合の責任
マンション所有者や管理組合が負う水漏れの種類
1. 共用部分の水漏れ::マンションの屋上や外壁、バルコニーなどの共用部分からの水漏れについては、管理組合が責任を負います。屋上防水層やバルコニーの防水コーティングなどのメンテナンスや補修は、管理組合の責務となります。
2. 個別住戸の水漏れ:マンションの個々の住戸からの水漏れについては、所有者が責任を負います。個別住戸の浴室やトイレ、給排水管などの防水施工やメンテナンスは、所有者の責務となりますが、一度、管理組合などにご相談してみましょう。原因によっては責任の所在が変更になる場合もあります。
具体例の紹介
1. 屋上からの水漏れ:管理組合が屋上の防水層の補修や再施工を行わなかったため、雨水が侵入し、下階の住戸や共用部分に水漏れが発生した。(管理組合の責任)
2. 個別住戸の浴室からの水漏れ:所有者が浴室の防水施工やシーリングのメンテナンスを怠ったため、浴室から水漏れが発生し、隣の住戸や下の階の住戸に被害が及んだ。(所有者の責任)
3. 共用施設のプールからの水漏れ:管理組合がプールの防水施工や排水設備の定期点検を怠ったため、プールから水漏れが発生し、隣接する住戸や共用スペースに被害が生じた。(管理組合の責任)
これらの具体例から分かるように、マンション所有者や管理組合は、適切な防水対策と定期的な点検・メンテナンスを行う責任を負っています。水漏れの発生を予防し、住民の安全と建物の耐久性を確保するために、適切な対策と責任の果たし方を重視しましょう。必要な場合には、専門家のアドバイスや専門業者の協力を活用することも大切です。
まとめ
今回は建物やマンションで起こる、雨漏り、水漏れの違いや防止工事の基礎知識について詳しく説明しました。建物はどうしても劣化をしてしまうものです。だからこそ、定期的なメンテナンスが重要になります。防水工事を実際に施工する際の施工会社の技術力によっても劣化のスピードは変化していきます。住人の安全を守るためにも適切な対応を心がけていきましょう。
- マリオンではご希望の方に無料調査を実施しています。必ずしも補修工事が必要でない場合もあります。プロの専門業者の目線で適切に判断させていただきます。しつこい営業なども一切しておりませんので、お気軽にご相談ください。お問い合わせはこちらから
マリオン株式会社 取締役副社長 永見 洋昭
一級塗装技能士であり、現在マリオン株式会社の副代表も務める。建築業界に10年以上在籍している経験と知識で現場から営業まで幅広く携わる。