マンションをお持ちの方は、「大規模修繕工事」という言葉を聞いたことがあると思います。修繕工事とは、建物、ビル、マンションなどの安全性と耐久性を維持するために必要な大規模なメンテナンス工事のことです。
しかし、莫大な費用と時間がかかるため、品質を下げずに費用をおさえることはとても大事なことです。今回は、マンションの大規模修繕工事の費用の相場と、品質を下げずに費用を最小限に抑える方法をプロの専門業社からみたポイントとコツについてご紹介します。
ぜひ、参考にしていただき、高品質で低コストを実現しましょう。
目次
そもそもマンションの大規模修繕工事とは?
費用について説明する前に、まず大規模修繕工事とはどのようなものかを理解しましょう。
マンション大規模修繕工事の基本知識について
マンションの安全性と居住性を確保するために、数十年ごとに行われる大規模なメンテナンスのことです。
一般的には、建物の構造、配管、電気システム、屋根などの重要な部品の修理や交換が含まれます。大規模修繕の例としては、外壁の修理、塗装、防水面の補強と強化。耐震補強、バルコニーの修理、エレベーターの交換など、さまざまなものがあります。
マンション大規模修繕工事の周期
大規模修繕には通常数ヶ月を要し、工事の程度によっては数百万円の費用がかかることもあります。日本では、大規模修繕の費用は、建物の床面積に応じて全所有者に分配されることが一般的です。
マンション大規模修繕工事の費用に影響する要因と相場
大規模修繕工事の費用には、建物の築年数や状態、必要な工事の範囲、その地域の材料や労働力のコストなど、いくつかの要因が影響します。
古い建物のアパートでは、より大規模な修理が必要になる場合があり、全体的な費用が高くなることがあります。
さらに、建物の大きさも費用に影響します。大きな建物では、より多くの材料と労働力が必要となり、総費用が増加する可能性があります。最後に、材料と労働力のコストは地域によって異なるので、見積もりを取る前に地域の価格を調査することが不可欠です。
大規模修繕工事の費用の相場はいくら
国土交通省が発表している「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると相場は、マンションの規模や築年数、地域、工事内容によって異なりますが、一般的には、延べ床面積1平方メートルあたり1万円~2万円程度が目安とされています。
また1戸あたり約100万円ぐらいが目安で、30戸であれば3,000万円ぐらいとも言われています。
ただし、これはあくまで目安であり、実際の費用は業者の見積もりや施工範囲によって変動します。適切な修繕費用を把握することで、無駄な出費を抑えつつ、適切な範囲での修繕工事が可能となります。
マンション大規模修繕工事の費用を節約する方法
大規模な修理は高額になりがちですが、お金を節約する方法はいくつかあります。プロの専門業社からみた工事費用を抑えるための方法とポイントをご紹介します。
長期計画で修繕費用を積み立てる
多くのマンションでは修繕積立金として、将来起こりうる大規模修繕のために、前もって計画を立て、毎月お金を積み立てているかと思います。まずはしっかりと長期を見据えて、計画的に修繕費用を積立ていくことが重要です。
見積もりは複数の業社から依頼し、比較検討をする
修繕費用を安く抑えるために簡単でとても重要なのが、業社選びです。施工する業社によって、立場や使用する資材、施工方法など違います。そのことにより、見積もりも違ってきます。
ここでポイントなのが、ただ、見積もりが安い業社を選ぶのではなく、なぜ安いのかを確認しましょう。もしかすると、技術面に自信がなく、費用を安くして受注したい業社もいるかもしれません。そのような業社を選んでしまうと施工ミス、工事完了後の品質低下による再発トラブルなどが起きやすくなります。
●施工業社の技術面の確認方法
工事に関して、専門的でない、わからない、という方がほとんどだと思います。では、そのような初心者がどうやって、施工業者の技術面を判断すれば良いか、悩んでしまうと思います。実は簡単に施工業者の技術力を確認する方法があります。
それはその業社の実績や施工実例などを確認することです。工事をお願いする建物、マンションなどの規模と同じような建物、マンションの工事を過去に実績として、行なっているのかと、また行なっている場合、どのぐらいの件数をこなしているのかを確認します。
同じ規模の建物を扱っている業社であれば、工事規模、内容を理解しています。件数も多ければ、その分、経験もあり、トラブルなどの対応も慣れているはずです。
ですので、業社の施工実績を確認し、同じような建物の工事があるのか、また施工件数は多いのかを確認し、信頼ができるかの判断にしましょう。
大規模修繕工事は責任施工会社がおすすめ
修繕、改修工事の費用を抑えるために、簡単なことが業社選びです。その中でも全てを一貫して管理、工事を行なっている責任施工会社はおすすめです。
なぜ、おすすめなのかポイントをいくつかご紹介します。
第三者などのマージン手数料が発生しない
管理会社が紹介する施工業者などは、ほとんどの場合がマージン手数料が発生しており、通常の工事費用より高いのが現状です。
責任施工会社であれば、管理会社などが入っていないため、マージン手数料などが発生しません。その分、10~20%分コストを抑えることができます。
(例えば、2000万円の工事であれば、200万円から400万円ぐらいのコストダウンが可能になる可能性があります)
工事品質を下げることなく、一番かんたんにコスト削減が可能になります。
連携がスムーズで応対が早いのが特徴
責任施工会社は直接のやり取りとなるため、連携、応対がスムーズです。例えば、見積もり依頼をしたとしても、一般の業社は依頼があった業社から各下請け会社に見積もりをさらに依頼します。その分、時間がかかり、応対が遅れる可能性があります。
●一般の業社の場合 見積もり依頼→仲介業者→業社→各下請け業社(足場業社、防水業者、塗装業社など)
●責任施工業社の場合 見積もり依頼→業社(連携がスムーズ)
トラブルにも柔軟にスピーディーに対応
マンションの大規模修繕工事は期間も長く、トラブルも多く発生してしまいます。また住人が住んでいるため、日常生活に不便をかけ、ストレスを与えてしまうこともあります。
このようなトラブルやクレームが発生した際も、一般業者は各業社に確認をとったり、計画を変更するのにも承認をとったりなどで応対が遅れる場合があります。
そのような場合も責任施工であれば、柔軟に対応ができ、応対もスピーディーに解決できます。
大規模修繕工事の費用を節約するときの注意点
費用を抑えたい、節約したいときの注意点をご紹介します。この点に気をつけながら費用の節約を実現していきましょう。
見積もりはしっかりと内容を確認する
見積もりは複数の業社から依頼し、比較検討することは重要です。しかし、一番安いからという理由だけ、業者を選定してはいけません。
必ず見積もりの内容、工事内容、また保証内容やアフターケアなど、しっかりと確認するようにしましょう。中には工事がはじまってみたら、追加費用が発生します、なんていう業社もありますので、追加費用は発生するのか、発生する場合はどのくらいを見込んでいるのかなどもしっかりと確認することが必要です。
見積もり工事以外にも住人も配慮をされているか
見積もり費用を確認することも大事ですが、その施工会社がしっかりとまわりの住人たちにも気配りができているかを確認することも重要です。
マンションの修繕工事は住人が生活しながら、長い期間工事が行われるため、住人たちにストレスを与えてしまいます。しっかりと住人たちの配慮も考えた提案であることも確認しましょう。
アフターケアはどこまでが範囲なのか
目の前の見積もりだけに目を向けるのではなく、工事後のアフターケアの内容もしっかりと確認しておきましょう。アフターケアは施工会社により、条件や内容などが異なる場合もあります。見積もりの金額だけではなく、工事後にどこまでが保証内容にあたるかなども確認することがとても重要です。
まとめ
今回はマンションや建物で必要となる修繕工事に費用について安く抑えるためのポイントとコツ、注意点などについてご紹介しました。修繕工事はマンションなどの耐久性を維持するためや、外観を美しくするためにとても重要な工事となります。その分、費用も高くなってしまいますが、ご紹介したポイントをおさえながら、注意点もしっかりと理解していただき、より良いマンションの大規模修繕工事につながれば、幸いです。ぜひ、ご参考にしてみてください。
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マリオン株式会社 取締役副社長 永見 洋昭
一級塗装技能士であり、現在マリオン株式会社の副代表も務める。建築業界に10年以上在籍している経験と知識で現場から営業まで幅広く携わる。