マンションのひび割れは危険?修繕は必要? 原因と対策とは

知らない間に気づいたら、マンションの外壁などにひびが入っていた。なんてこともあると思います。とくにマンションはコンクリートの建物になるので長年の経年劣化からどうしても外壁部分や階段、コンクリート部分にひび割れ(クラック)が起きてしまいます。

まだ小さいひび割れなどであれば大丈夫ですが大きなひび割れになると建物の耐久性にも問題がでてきてしまい、危険な状態になってしまっていることもあります。

今回はそんなマンションや建物、ビルなどで起こるトラブル。外壁やコンクリートなどのひび割れ、クラックについてご紹介します。
知っていることで対処や対応なども敏速にできるのでぜひこちらの内容を参考にしてみてください。

目次

どうしてマンションの外壁やコンクリート部分などにひび割れ(クラック)が起きてしまうのか?

そもそも、どうしてマンションの外壁やコンクリート部分などにひび割れ(クラック)は起こるのでしょうか?

ひび割れの原因として多くの方が思い浮かべるのは地震などの外的要因だと思う方が多いのではないでしょうか。ですが、施工上の不備に起因するケースも多々あり、コンクリートのひび割れ(クラック)は、さまざまな要因によって引き起こされます。ひび割れの原因とメカニズムについて解説します。

まず、コンクリートがひび割れる主な原因の一つは、荷重や応力の影響です。建物や構造物にはさまざまな荷重がかかりますが、それによってコンクリートにも応力が生じます。応力がコンクリートの耐えられる限界を超えると、ひび割れが生じることがあります。例えば、建物に重い荷物が積まれたり、地震や風などの外力が加わったりすると、コンクリートに応力が集中し、ひび割れが発生する可能性があります。

また、温度変化もひび割れの原因となります。コンクリートは温度の変化に敏感であり、温度の上昇や下降に伴って膨張や収縮をします。この繰り返しによって、コンクリート内部に応力が生じ、ひび割れが生じることがあります。たとえば、夏の暑い日にはコンクリートが膨張し、冬の寒い日には収縮します。これらの温度変化によって、コンクリートにひび割れが生じることがあります。

コンクリートは強い圧縮力に耐えることができますが、引っ張り力には弱いです。そのため、引っ張り応力が生じた場合、コンクリートはひび割れます。ひび割れは、コンクリート内部の引っ張り力を分散させる働きもあります。つまり、ひび割れが生じることで、コンクリートの破壊を防ぐ役割を果たしているのです。

このような自然現象的な要因とは別に施工上の問題、施工ミスにより、ひび割れが発生してしまう場合もあります。しっかりとした経験と知識のある施工業者であればそのようなことはあまり起こらないですが、いわゆる手抜き工事などによってひび割れやクラックなどが引き起こされる場合もあります。

マンションのひび割れの危険度の確認方法と補修の目安

ひび割れを見つけたとき、このひび割れがどのくらい危険なのか?いますぐに補修しないといけないのか?など不安になることもあると思います。

 

ひび割れが発生した場合、その状態を正確に調査することが重要です。まずは、目視による外観調査が基本となります。コンクリートの表面や周辺を注意深く観察し、ひび割れの種類やパターン、深さ、幅などを確認します。この際、写真撮影などの記録を行うと業者などに見せることもできるため判断に役立ちます。

また、そのほかに専門業者による調査方法でひび割れの深部にまで視認するために非破壊検査(NDT)があります。例えば、超音波探傷法や赤外線サーモグラフィーなどの検査方法を利用して、コンクリート内部のひび割れや損傷の有無を確認することができます。これにより、隠れたひび割れや構造上の問題を見逃さずに把握することができます。

ひび割れ(クラック)の補修の目安

ひび割れの補修時期の判断は、ひび割れの状態や影響の程度によって異なります。一般的に、以下の目安を考慮します。

1. 安全性への影響:ひび割れが建物や構造物の安全性に直接的な影響を及ぼす場合は、早急な補修が必要です。例えば、重要な構造部分や耐震性に関わるひび割れは、すぐに修復する必要があります。

2. 水の浸入や腐食のリスク:ひび割れが水の浸入経路となったり、鉄筋の腐食を引き起こす可能性がある場合は、迅速に補修する必要があります。水が侵入しコンクリート内部の強度を低下させたり、鉄筋の錆びによって構造物が弱くなる恐れがあります。

3. ひび割れの拡大:ひび割れが拡大している場合は、早めの補修が必要です。拡大するひび割れは、構造物の安定性や耐久性に悪影響を与える可能性があります。

4. 使用目的や外観への影響ひび割れが使用目的や外観に影響を及ぼす場合は、補修を検討する必要があります。例えば、建物の外壁や床のひび割れが美観を損ねたり、使用上の問題を引き起こす場合は、補修が適切です。

一般的に言われているのが日々割れのすき間が0.3㎜以上ある場合は一定程度以上の問題が存在する可能性があるものとして補修を要するものと判断されます。

どのくらいのすき間があるのかを確認する方法はホームセンターなど売られているクラックスケールを用いる方法があります。これを使用してすき間がどのくらいかを確認します。

また、このようなクラックスケールがない場合は定規やシャーペンの0.3㎜芯をもちいて、芯が奥まで入るようであれば危険などの判断をすることもできます。

ひび割れ(クラック)でも誘発目地の可能性も!?

建物、マンション、ビルなどの外壁部分を観察しているとひび割れを目にする機会もあります。

実はひび割れがあったとしてもすぐに対応したほうが良い場合とあらかじめひび割れを想定して外壁部分を施工している場合があります。

後者のことを「ひび割れ誘発目地」などと言われますがこれは外壁部分の壁と通路などの手すり部分で高さが違いコンクリートの形状が変わる箇所などは外からの力や影響を受けやすく、伸縮なども起きるためひび割れが起きやすい箇所になります。

そのようなひび割れが起きやすい部分にはひび割れ誘発目地が入っており、そこにひび割れを集中してあえて起こさせるようにしてあります。

ですので、このような場所は起こるべきして起こっているひび割れになり、それを想定して施工しているため、ただちに漏水などの被害がでないようにしています。

だからと言って、ひび割れがあるけどほっておいても良いというものでもありませんので、しっかりと専門の業者様に現場を確認していただき、専門的な判断をしていただくようにしましょう。

ひび割れ(クラック)を放置しておくのはとても危険!

外壁部分になるコンクリートのひび割れは、放置しておくとコンクリートの劣化に繋がり、漏水や耐久性の低下など構造強度の弱体化にもつながります。

とくに外壁部分は外気にさらされる部分でもあり、ひび割れから雨水が浸透し、エフロレッセンスが発生します。エフロレッセンスとは白い染みのようなものが外壁に付着し、これはコンクリート内部のセメント成分が浸透した雨水とともに流れ出してしまう現象のことです。

また、ひび割れから雨水が浸透し、内部鉄筋にまで到達すると鉄筋の錆びが進行します。錆びが進行すると体積が増加し、鉄筋を覆う周りのコンクリートを破壊し、爆裂が起きます。

コンクリートも破損によって圧縮強度が低下します。外気にさらされない内部においても、鉄筋が空気に触れることで錆びは進行していきます。

なお、爆裂までに及ばずも赤い錆汁を伴うひび割れがある場合も、一定程度以上の問題が存在する可能性があるものとして補修を要するものと判断されます。

1. 構造的な問題:ひび割れが建物や構造物の重要な部分に生じている場合、その放置は構造的な問題を引き起こす恐れがあります。ひび割れが進行し、強度や安定性に悪影響を及ぼすことがあります。地震や風などの外力が加わった際に、ひび割れが拡大し、構造物の耐久性や耐力に問題が生じる可能性があります。

2. 防水性の低下:ひび割れが放置されると、水がひび割れに浸透する可能性があります。これにより、建物内部に水が侵入し、壁や床の浸水、シロアリやカビの発生などの問題が生じる恐れがあります。また、水の侵入によってコンクリートの強度や耐久性が低下する可能性もあります。

3. 鉄筋の腐食:ひび割れによって水や湿気が鉄筋に浸透すると、鉄筋の腐食が進行する恐れがあります。鉄筋の腐食は鉄筋の強度を低下させ、構造物全体の安定性に影響を与える可能性があります。また、鉄筋の腐食によってコンクリートが剥離したり、ひび割れが拡大したりすることもあります。

4. 美観への影響:ひび割れが外壁や床などの見える部分に存在する場合、放置されたままでは建物の美観が損なわれる恐れがあります。これは、建物の価値や印象にも影響を与える可能性があります。

補修業者に依頼する場合の費用と工事期間の目安

補修業者に依頼する場合の費用や工事期間は、ひび割れの状態や補修手法、建物の規模などによって異なります。以下では、一般的な目安となる費用と工事期間について説明します。

補修費用の目安

補修費用は、ひび割れの広がりや深さ、補修手法の選択、建物の規模などによって変動します。一般的に、小規模な内装ひび割れの補修費用は数千円から数万円程度で済むことが多いです。しかし、大規模なひび割れや構造に影響を与えるひび割れの場合、補修費用は数十万円以上になることもあります。

工事期間の目安

工事期間もひび割れの状態や補修手法によって異なります。小規模な内装ひび割れの場合、補修作業は数日から数週間程度で完了することが一般的です。ただし、大規模なひび割れや構造に影響を及ぼすひび割れの場合、工事期間は数週間から数ヶ月に及ぶこともあります。これは、補修のための準備や構造的な補強が必要な場合があるためです。

補修費用と工事期間は、ひび割れの状態や補修の複雑さ、地域や業者の料金体系によって異なります。補修業者に依頼する際には、複数の業者から見積もりを取り、適切な価格と信頼性を持った業者を選ぶことが重要です。

別のコラムで施工業者からお見積もりを依頼するときのポイントについてご紹介しています。ご興味がある方はぜひ下記もご覧ください。

ひび割れが気になればすぐに専門業社にご連絡を

今回はマンションなどで多い、外壁やコンクリート部分のひび割れについてご説明しました。

ひび割れといってもほっておくと建物全体の強度の低下になる恐れもあるので、しっかりと確認し、ひび割れが少し大きいようであれば、ちゃんと専門の業社に頼んで相談してみることをおすすめします。

またひび割れが複数みられることであれば建物自体の劣化が進んでいる可能性が十分にあります。そのときはタイミング的に大規模な修繕工事が必要になる可能性もあります。

建物やマンションを守る意味でもご説明させていただいたようなことをしっかりと頭に入れておきながら、適切な補修、対応をしていきます。

マリオン株式会社では上記のようなポイントを注意しながら施工会社から視点で注意しながら、お見積もり依頼を受けた場合は実践しております。管理組合さまやワンオーナー、管理会社ともにサポートできるよう努めていますのでお気軽にご相談ください。

まとめ

今回は外壁塗装工事について、ご紹介しました。一般的にはマンションや建物の定期的な修繕を行う大規模修繕工事の一部として行う場合が多いですが、外壁は劣化によるトラブルが多い箇所にもなります。外壁塗装工事で外観をきれいにしたり、建物の耐久性を維持するなど、とても重要な工事になります。外壁塗装工事の内容を知っていることで、今後の工事を行う際の目安になったり、外壁工事をお願いするタイミングなどを知ることができます。

ご紹介した内容を参考に外壁塗装工事を知り、きれいで耐久性のある建物を目指しましょう。

マリオン株式会社 取締役副社長 永見 洋昭
マリオン株式会社 取締役副社長 永見 洋昭

一級塗装技能士であり、現在マリオン株式会社の副代表も務める。建築業界に10年以上在籍している経験と知識で現場から営業まで幅広く携わる。

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