防水工事にはどのような種類や工法があるのですか?

建物を水から守る防水工事には、使用する材料や防水の種類・工法によってさまざまな特徴があります。
建物の改修時におこなう防水工事の方法についてご説明します。
1.改修防水工事の方法
「塗る」防水と「貼る」防水
改修防水の方法は「塗る」防水である塗膜防水と、「貼る」防水であるシート防水に分けられます。
「塗る」防水(塗膜防水)

液状の材料を練り合わせて防水面に塗っていくことで防水層を形成します。
一般的なものとして、ウレタン塗膜防水やFRP防水があります。
防水層の表面につなぎ目が無く、シームレスな防水をおこなうことができます。
「貼る」防水(シート防水)

筒状のシート建材を防水面に貼り合わせていくことで防水層を形成します。
一般的なものとして、塩ビシート、ゴムシート、アスファルトルーフィングなどがあります。
シートが重なる部分に、つなぎ目があります。
改修防水工事の3つの工法
防水工事を行う際の工法には、次の3つがあります。
- 撤去工法:
- 下地に施されている防水層をすべて撤去し、新しい防水層をつくります
- 再生工法(かぶせ工法):
- 下地の防水層を生かします。不具合のある個所を補修し、その上に新しい防水層をつくります
- 再生工法(機械固定工法):
- 再生工法のひとつで、防水シート建材を機械で固定する工法によって防水層をつくります
改修防水工事にあたっては、既存の防水層を生かせるのか撤去するのかによって、工事で選ぶことができる防水材の種類や施工方法が変わります。
工法 | メリット | デメリット | コスト | 考察 |
---|---|---|---|---|
撤去工法![]() |
メリット :
|
デメリット :
|
工事コスト : 高 |
考察 : 防水層を撤去する場合は、次の改修防水で下地の撤去が必要にならない「かぶせ工法」による防水を選定するのが良いでしょう。 |
再生工法 (かぶせ工法) ![]() |
メリット :
|
デメリット :
|
工事コスト : 安 |
考察 : 下地を撤去しないと不具合が起きてしまう場合を除いては、工事コストも安く、お勧めできる工法です。 |
再生工法 (機械固定工法) ![]() | メリット :
|
デメリット :
|
工事コスト : 中 |
考察 : 基本的に下地を選ばずにおこなえる工法で、これからの改修防水工事の現場で多く起用されるでしょう。 |
密着工法と絶縁工法
上記によって選定した工法の中には、さらに「密着工法」と「絶縁工法」に分けられるものがあります。
密着工法

密着工法とは、防水材を防水面に対して直接塗布したり、糊を塗って貼る工法のことです。
下地との密着性に優れていて、工事のコストは下記でご説明する絶縁工法と比べて割安です。
絶縁工法

絶縁工法とは、下地と防水層との間に空気の層をつくる工法のことです。
絶縁工法によってつくられた空気層に脱気筒を取り付けることで、下地に残された湿気を外部に逃がすことができるため、湿気による防水層の膨れが起こりにくくなります。
また、下地の揺れなどによるひび割れなどの影響を受けにくいことも絶縁工法の特徴です。
工事コストは密着工法と比べ割高になります。
2.改修防水工事で使われる防水材と工法
次の表では、改修防水工事で用いられる防水材と工法についてご説明しています。
防水 形状 |
防水材の 種類 |
工法の種類 | 説明 | 期待耐用年数 |
---|---|---|---|---|
塗膜 防水 |
ウレタン 防水 |
密着工法 |
|
10~13年 |
絶縁工法 (通期緩衝) |
|
12~14年 | ||
ゴムアス ファルト 防水 |
密着工法 |
|
10~13年 | |
アクリル ゴム防水 |
密着工法 |
|
10~12年 | |
ポリマー セメント 防水 |
密着工法 |
|
9~11年 | |
シート 防水 |
塩ビシー ト防水 |
密着工法 |
|
13~15年 |
絶縁工法 (機械固定) |
|
13~15年 | ||
ゴムシー ト防水 |
密着工法 |
|
10~13年 | |
改質アス ファルト 防水 |
常温自着工法 |
|
13~15年 | |
トーチ工法 |
|
13~15年 |