大規模修繕工事の見積りをどのように取ったらよいか分かりません

大規模修繕を実行するにあたって工事業者に見積りを依頼するとき、どのようにして伝えたらよいのか迷ってしまうことがあります。
見積りを上手に取る方法や、工事業者を選ぶ前にやっておくとよいことをご説明いたします。
1.工事業者から見積りを上手に取る方法
複数の業者に依頼する

1社からの見積りだけでは工事にかかる金額はもちろんのこと、工事内容や保証、工事の進め方、担当者との相性などあらゆる面で情報が限られてしまうため、目安として3社程度に見積りを依頼することがよいと考えております。
見積りの依頼をしてから実際に見積書を目にするまでにかかる期間は業者によってまちまちで、マンション大規模修繕などの場合には、長ければ数か月経っても見積書が入手できないこともあります。
見積りを依頼するときには、あらかじめ提出までの期間も問い合わせておくのがよいでしょう。
工事の条件を揃える
修繕工事では、使用する材料や工法の違いによって工事金額が数十万円から数百万円変わってくることはめずらしくありません。
工事の仕様が同じ、またはある程度近い内容のものであれば、数社から入手した見積書を比べて金額の比較をすることができますが、使用する材料や工法などが各社バラバラであった場合には、単純に見積り金額の高低だけで比べることができません。
たとえば外壁の塗装を依頼する場合、数多くの種類の塗料の中からどの塗料を用いるのかによってだけでも、工事金額は変化します。
このため、事前に塗料のグレードやメーカーなどをある程度把握した上で複数社に対して見積り依頼をするか、手始めに1社から入手した見積書の内容を参考に他の業者に同じ内容で依頼をすることが見積書の比較検討に適しています。
気になった1社から何種類かの見積書を入手する

問い合わせの段階でよさそうだと思った会社がいる、または数多くの業者に依頼してそれぞれを比較することが面倒なときには、1社から「松」「竹」「梅」などの工事グレードに分けた提案をしてもらうとよいでしょう。
同一の会社から提出された各グレードの見積書を比べることで、より工事内容や金額の違いが分かりやすくなります。
2.工事業者を選定する前にやっておきたいこと
過去の工事実績を参考に実際の現場を訪れてみる

工事業者の選定にあたっては見積書による金額などの比較のほか、過去の実績も参考にできます。
過去の実績については各工事業者のWEBサイトに載っていることが多く、施工した建物の規模や工事の内容を知ることができます。
余裕があれば、実際に施工した建物を訪れてみるのもよいのではないでしょうか。
現場周辺の住民に工事について尋ねる
実際に現場を訪れた際には、施工された建物を見るだけでなく、近隣の方々やその建物にお住まいの方々から情報を収集してみるとよいと思います。
修繕工事は数週間から数か月を要するものまでさまざまですが、工事を進めていく際には、現場内での施工以外にも居住者や近隣への対応、配慮が大切となります。
現地を見たついでに、工事中の業者の対応について周囲の方々からの声を聞いてみるのもよいでしょう。
3.適切な修繕を実現するために
建物の修繕工事はけっして安くない買い物です。
そのため、工事業者の選定にあたっては、
- 複数社への依頼
- 見積書提出までの期間の確認
- 使用する材料や工法など工事の内容を揃えた見積り
- 1社へのグレード毎の見積り
- 過去の施工実績を調べる
- 現地建物の確認と工事業者の対応に対する周囲の声の確認
をすることで、判断するときの助けとなります。
また、見積りを取る際には工事の目的としてたとえば、
- 外壁を塗装してキレイにしたい、雨漏りに困っているなど
- 今後、建物をどのように維持していくのか
- 何十年にわたって保護していきたいなど
これらを工事業者に対してしっかりと伝えた上で見積りを依頼することが大切です。
単純に価格が安いから、という理由のみで発注し、結果として長持ちせずに修繕コストが高くついてしまったなどということが無いよう、見積りを依頼するときには上記のことをなるべく詳しく工事業者に伝えるのがよいのではないでしょうか。