マンションなどの建築物は経年劣化によって様々な箇所で不具合が生じます。

外壁や鉄部を保護している塗膜の劣化や外壁タイルの耐久性が低下して剥がれるだけでなく、防水効果も弱まっていることから雨漏りや漏電の可能性もあるため、生活トラブルにも繋がります。

今後の修繕を考える上で、長期修繕計画表を作成し、大規模修繕工事のタイミングに備えましょう。

1.長期修繕計画表の必要性

マンションの長期修繕計画
マンション管理組合やオーナー様がマンション適切に維持管理していくための手段として、「長期修繕計画表の作成」があります。

大規模修繕工事のタイミングや修繕積立金の積み立て状況、今後の予測金額などを確認し、工事項目ごとの修繕方法などを取りまとめておくことで、来るべき大規模修繕をスムーズに実行することができます。

長期修繕計画は、資産価値のある建物を長期にわたって計画的に維持していくために大切なこととなります。

長期修繕計画の作成を管理会社に任せることもできますが、工事内容の妥当性や、管理会社と工事会社の癒着に繋がってしまう可能性があることがデメリットとして挙げられていました。
また、管理会社との日々の関係によっては、管理会社がマンションの実態を適切に理解していない可能性も考えなくてはなりません。

計画に必要な工事の概要や修繕積立金などの状況について管理会社に相談しつつも、基本的には管理組合が主導となって長期修繕計画を作成することにより、実際にマンションに暮らしている住民にとって有効な修繕を行うことができるでしょう。

2.長期修繕計画表の内容

ネットで参考とする長期修繕計画
国土交通省のHPから長期修繕計画標準様式をダウンロードすることができます。

この計画様式では、工事項目ごとの費用や修繕計画の期間、計画期間中の収支や修繕積立金の制定理由を主な項目として構成されています。
また、修繕が必要な箇所を「推定修繕工事項目」としてまとめています。

標準様式では、主に以下の箇所について、細かい工事項目の欄が用意されています。

・屋根防水
・床防水(バルコニー・開放廊下・階段など)
・外壁塗装など(コンクリート・外壁・タイル・シーリングなど)
・鉄部塗装等
・建具、金物など(手すり・鉄階段・集合ポストなど)
・共用内部
・給水設備
・排水設備
・ガス設備
・空調、換気設備
・電灯設備など(電灯・配電盤・避雷針など)
・情報、通信設備(電話・テレビ・インターネット・インターホンなど)
・消防用設備
・昇降機設備
・立体駐車場設備
・外構、附属設備
・その他

各工事項目に対して、過去の修繕履歴などから工事単価を設定して工事量に沿って推定の修繕費用を算出し、長期修繕計画に反映させていきます。

鉄部や外壁目地のシーリングなどは外壁や機械設備よりも劣化が早いため、場合によっては大規模修繕工事以外で補修することもあります。

しかし、工事の種類によっては足場の架設が必要な場合もありますから、それぞれ必要な修繕についてできるだけタイミングを合わせることで足場設置や工事の諸経費などにかかるコストを減らすことができるか、など計画をしていくことが大切です。

また、長期修繕計画表は必ずしも上記のような様式通りに作らなければいけないものではありません。

計画で重要なことは、大まかに分ければ「修繕の対象物」「工事の内容」「お金」の3種類です。

    • 修繕が必要となる箇所(外壁、屋上、バルコニー、共用部、設備など)
    • それぞれの箇所で、いつ、どのような工事を行ったのか
    • 現状、問題が発生しているか
    • 今後、いつ、どのような修繕を行う予定か
    • 修繕積立金の現在の積み立て金額と今後の収支予定

これらについて、管理組合として分かり易いものを作成して据え置いておくことで、仮に大規模修繕についての担当者が交代した場合にも簡単に状況を把握することができます。

3.最後に

定期的な長期修繕計画の見直し
1回あたりの工事にかかる費用の相場が約1,000~3,000万円と言われる大規模修繕工事を無理のない範囲で適切に行うためには、あらかじめ長期修繕計画表を作成して各修繕の収支を予測しておくことが大切です。

また、修繕は1回限りではなく、約10年前後を目安に実施することが多いため、行った工事の範囲や工事の内容についても分かるようにしておきましょう。

修繕積立金の範囲内で大規模修繕を確実に実施するためには、途中で計画の変更や見直しが必要になることも生じます。

約30年程度の長期修繕計画を立てた場合でも、5年程度を目安に更新し、最新の情報によって今後の予測を立てましょう。

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